マッチの雑学
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マッチの製造工程
マッチの種類
※寸二は一寸二分(巾36mm)のことで、昔の呼び名が現在の通称となっている。
マッチに使われる薬品
頭薬 | 酸化剤 | 塩素酸カリ |
---|---|---|
燃焼剤 | 硫黄(いおう)・松脂・膠(にかわ)等 | |
調節剤 | ガラス粉・雲母・クレー粉(ねん土)等 | |
接着剤 | 膠 | |
側薬 | 発火剤 | 赤りん・硫化アンチモン等 |
接着剤 | 合成樹脂 | |
※軸木 | インプル剤 | 第二りん酸アンモニウム(軸木燃焼後の残火を防止) |
燃焼剤 | パラフィン | |
※軸木は「ポプラ」や「アスペン」(ポプラ属)の木。チリ、中国、スウェーデンから輸入している。
環境にやさしいマッチ
マッチの箱は古紙をリサイクルして利用し、軸にはポプラ・アスペンといった木を使用しています。
マッチの頭薬は、子供が誤って口に入れる程度では害はありません。
使い終わった後のマッチは、プラスチックなふどの化石燃料を一切使用していませんので家庭ゴミとして廃棄・焼却が可能です。
ゴミ処理施設で焼却され、全てが土に還るので地球環境にもとても優しいエコロジーな製品です。
マッチのすり方
周囲に迷惑がかからないように注意して下さい。
小箱マッチは下図のように箱を持ち、三本指で軸木をはさみ、すり下ろします。
ブックマッチはふたを閉め、紙軸をはさんで持ち、折れ曲がらないようにしてすります。
火は吹き消すか、(水の入った)もえがら入れに捨てて消しましょう。燃えかすの軸木は消火を確かめてから、灰皿などに捨てます。
マッチは危険物ですか? Q&A
Q1.自然発火はあるでしょうか?
マッチの発火のしくみは、マッチ棒の先端についている頭薬を側薬に擦りつけることによって側薬に含まれる赤燐が少し剥がれ、その摩擦熱で赤燐が燃え始め、頭薬の硫黄なども燃えるというものであり、専門の分析センターで実験した結果、自然発火温度は 187°Cでしたので、通常の状態では自然発火はありません。また、段ボール箱内で発火しても小箱1箱内の頭薬が燃えるだけで、酸素不足から自然鎮火しますので、火災の危険はありません。
Q2.消防法のうち市町村条例と関係ありますか?
神戸市火災条例では政令で定めた指定可燃物以外にマッチ(200Kg) 、ダンボール紙(10トン) が指定可燃物に追加されています。マッチ200Kgは並マッチ(44 本入り)18 000個以上(段ボール箱で15ケース以上)になりますので製造業者以外には火災条 例に触れません。
現在神戸市以外でマッチを指定可燃物としているのは(他サイトで調べた範囲では)名古屋市と大阪市だけである。(東京都は指定されていません)
Q3.危険物以外に指定可燃物がありますが、マッチは?
国が定めた政令では次の11種類で規定の数量以上が指定可燃物です。
綿花類、木毛及びかんなくず、ぼろ及び紙くず、糸類、わら類、再生資源燃性固体類、石炭・木炭類、可燃性液体類、木材加工品及び木くず、合成樹脂類。
従って政令ではマッチは含まれません。
Q4.マッチは危険物ですか?
マッチは危険物でありません。
危険物は消防法で次の6種が指定されています。
第一類 酸化性固体(塩素酸塩類等)
第2類 可燃性固体(硫化りん等)
第3類 自然発火性物質及び禁水性物質(ナトリウム等)
第4類 引火性液体(石油類等)
第5類 自己反応性物質(ニトロ化合物等)
第6類 酸化性液体(硝酸等)
従ってマッチは何れにも該当しません。
マッチの日
5月12日は『マッチの日』です。
マッチの始祖 清水誠が1869(明治2)年5月12日にヨーロッパ留学のために横浜港から出航したことにちなんで決められました。
東京都江東区亀戸天神社境内に建てられていた清水誠の功績を称える紀功碑が、第2次世界大戦の東京爆撃で破壊され、失ったままの状態で放置されていましたが、1975(昭和50)年5月12日、同社境内に清水誠の顕彰碑および紀功碑が再建されました。
日本のマッチ
マッチの種類が多いことは日本が世界一です。
多品種生産に対応できるシステムが確立していますので、世界中から広告宣伝用マッチの受注があります。
現在、日本のマッチ生産量の約2割は外国向けで、主としてヨーロッパ、米国に輸出しています。
マッチの生産量は減りましたが、業界では早くから経営の多角化を図り、かつてマッチ産業が育てた土地・技術・販路の3つの資源を有効に活用し、生活に密着した商品の開拓に取り組んで複合産業へと発展しています。
マッチ製造で培った技術的な経験を活かした分野として印刷関連の事業があります。
例えば、各種の印刷、紙器の製造、生活日用品雑貨への名入れなどです。
また、土地を活用した分野としてテニスクラブ。スポーツ施設・駐車場などを展開しています。
マッチ出荷数量データ
家庭用 | 6154 |
---|---|
たばこ用 | 30 |
広告用 | 国内向 846 輸出向け 645 |
出荷合計 | 7,675 |
参考:1マッチトンとは
1.マッチ棒で30万~40万本。
2.スーパー等で12個パックで販売されている並型マッチ(約40本入り)で7,200個、家庭小型マッチ(約800本入り)で500個。
3.旅館・飲食店等で無償提供されている広告マッチの代表的な寸二型(平型:並型の半分の厚みの箱)で15,000個。
箱の大きさによって1マッチトンの数量は変わってきます。
マッチと兵庫県
明治維新の後、失業士族救済、産業振興のため各地にマッチ工場が作られました。
兵庫県では姫路の就光社(しゅうこうしゃ)、尼崎の慈恵社(じけいしゃ)が設立されましたが、長続きしませんでした。
その後、進取の気質に富んだ企業家が神戸・大阪にマッチ工場を作り、特に日本を代表する神戸港から華僑の手によりマッチが輸出されるようになりました。
神戸で造船・鉄鋼・ゴム製品などの工業が発展するとマッチ生産の中心が西へ移動し、現在は姫路地域で国内の約80%を生産しています。
兵庫県の瀬戸内海地域の地場産業として発展した理由として、下記のことが挙げられます。
- ①神戸港に近く「原材料の輸入」と「製品の輸出」がしやすかった。
- ②雨が少なく温暖な「瀬戸内海性気候」が乾燥工程の多いマッチの製造に適していた。
- ③新しいものに取り組もうとする「播州(ばんしゅう)人」の気質があった。
- ④付近に工場が少なく、働きたい人が多かったので、人を集めやすかった。
小冊子「マッチの話」
一般社団法人日本日本燐寸工業会が発行した小学生・中学生向けの小冊子「マッチの話」をPDFファイルにてダウンロードできます。